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学童で「宿題をやらない子」に対する関わり方とは?
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学童保育所で働いていると、必ずと言っていいほど向き合うことになるのが「宿題をやらない子」との関わり方です。みんなで学習をやる時間を設けても、ランドセルから宿題を取り出そうとしない子。ノートを前にして、ぼんやりと時間だけが過ぎていく子。声をかけると「あとでやる」と言いながら、結局最後まで取り組まない子…。こうしたこども達の姿に、苛立ったり、困ったり、どう関わればいいのか悩んだりした経験がある支援員の方も少なくないでしょう。
本コラムでは、学童保育所で「宿題をやらない子」に対して、どのような心構えを持ち、どのような形で向き合っていけば良いのか、関わり方のコツをまとめていきます。
◎学童における宿題サポートの現状
多くの学童保育所では、学校から学童に登所したタイミングで宿題に取り組む時間を設けています。その理由としては、「まず最初にやることを終わらせてから遊ぶという癖をつけること」や「学習習慣を身につけること」、「帰る時間がバラバラなこども達が全員宿題を終わらせられるようにすること」などが挙げられるでしょう。
静かで集中できる環境を整え、支援員がそばで見守りながら、こどもたちが自分で宿題に向き合えるようサポートをする。これは、学童保育所が果たしている大切な役割の一つです。
一方で、学童保育所は学校ではありません。「学校との教え方の違いによる混乱を避けたい」や「教員免許を持たない支援員による指導の質を一定に保つことが難しい」、「支援員一人ひとりの負担が大きい」などの理由から、こどもたちに支援員による学習指導は行わないという方針を取る施設も多くあります。そのため多くの学童では「宿題を教える」のではなく、「宿題に取り組む時間と環境を確保する」ことを大切にしています。
しかし、いくら宿題をやる時間を確保し、学習環境を整えたところで、学童保育所で宿題に向き合えない子が一定数いるのも事実です。宿題をやらないこどもたちの様子を見ながら「一体どうサポートをしたら良いのだろうか」と歯痒さを感じている…。それが学童保育所における宿題サポートの現状ではないでしょうか。
◎学童で宿題を「やらない」背景を知ることから始めよう !
学童保育所を利用している家庭の多くは共働き世帯です。保護者は仕事が終わってこどもを迎えに行き、帰宅後は夕飯の準備、お風呂、翌日の支度と、時間に追われる毎日。こどもたちと一緒に宿題をやる時間をとることは保護者にとって非常に大きな負担です。もし小さなきょうだいがいれば、家庭で静かに宿題に向き合う環境を整えること自体が難しいこともあります。一日遊んで疲れ果てている子は、宿題をやりながら眠くなってしまう時もあるでしょう。
だからこそ、「できれば学童で宿題をやってきてほしい」という保護者の思いは、とても現実的で切実なものです。
しかし、宿題をやらない理由は一人ひとり違います。学童に来たら「まずは遊びたい!」という気持ちが溢れる子もいます。学校で長い時間頑張って座って勉強をしたあと、ようやく自由に遊べる場所に来たのですから、無理もありません。つまり、宿題(勉強)をすること自体が嫌なのではなく、遊ぶ時間が短くなったり後回しになったりすることが嫌、というケースです。
また、勉強や宿題そのものに強い苦手意識を持っている子もいます。そのような子達は、問題を見ただけで「何も分からない」と感じて手が止まってしまったり、「どうせ分からない」と思ってノートを開くことすら嫌悪感を覚えたりしています。
さらに、みんなと同じ空間で宿題をやることが苦痛な場合もあります。間違えるところを見られたくない、書くのが遅いことを知られたくない、「こんなことも分からないの?」と思われたくない、他の子と比べられるのが怖い。そうした思いが、宿題への拒否として表れることもあります。
当然のことながら、宿題をやりたくない理由が違えば、必要な関わり方も変わってきます。大人数で過ごす学童という環境の中で、完全に個別最適な支援を行うことは簡単ではありません。それでも「なぜこの子は宿題に向き合えないのか」を考え、理解しようとする姿勢そのものが、こどもにとっての安心とより良い成長につながっていきます。
◎宿題をやらない子への具体的なサポート方法とは?
宿題に取り組めない子への関わりで、まず大切にしたいのは「無理にやらせない」という視点です。叱ったり、急かしたり、他の子と比べたりしても、宿題への苦手意識が強まるだけで、前向きな変化にはつながりにくいからです。
具体的なサポート方法として、例えば「いつ宿題をやるか」をこども自身に決めてもらうという方法があります。学童保育所に来てすぐ取り組むのか、少し遊んでからやるのか、外遊びの後にするのか。学習の時間を大人が決めるのではなく、選択肢を示してこどもが自己選択することで、「やらされている」という感覚が和らぎ、机に向かいやすくなる子もいます。
また、他の子と一緒に宿題をやることが苦手な場合には、学習をするタイミングや場所をずらすのも一つの工夫です。育成室内が少人数になる時間帯を選んだり、少し静かなスペースを用意したりするだけで、落ち着いて取り組めるようになることもあります。
なお、どちらの方法も実践するにあたっては「あの子だけ特別扱いでズルい」と周囲から思われないような、学童保育所全体の土壌づくりが必要です。
そして、上記のような工夫を実践できたとしても、やっぱり宿題に取り組むことができない子もいます。問題を前にすると固まってしまう子、何度説明されても理解できずに自信を失ってしまっている子など様々ですが、そのような場合には学童保育所の支援員だけで抱え込まないことが非常に重要です。
◎保護者・学校と「繋ぐ」ことも、学童の大切な役割 !
宿題に関する悩みは、学童保育所だけで完結できるものではないからこそ、保護者や学校との連携が欠かせません。
学童保育所でなかなか宿題に取り組めないことを素直に保護者へ伝え、家庭や学校での様子を共有してもらうことで、こどもの状況が少しずつ立体的に見えてきます。
場合によっては、「今の宿題の量や内容が、この子に合っているのか」を学校と相談することも必要になってきます。その子の発達度合いや理解度に合っていない宿題を無理やりやらせ続けることで、自己肯定感や学習意欲が下がってしまっては本末転倒です。学習障害(LD)が背景に隠れている可能性もあるため、早い段階での共有と相談が、こどもたちを守ることにつながります。
学童の支援員がその旨を学校に伝えることが難しい場合には、保護者から担任の先生へ相談してもらうのも一つの手です。
また、学童の支援員が答えを教えて、完璧に終わった宿題を提出させることは、必ずしも最善ではありません。きれいに仕上がった宿題だけを見てしまうと、保護者や学校がこどもたちのつまずきに気づけなくなってしまいます。学童保育所は学習・宿題に関する課題を「解決してあげる場所」ではなく、「困りごとを見つけ、つなぐ場所」であることを意識することが大切です。
◎「宿題をやらない子」=悪い子?
どうしても、学童保育所で決められた時間に宿題に取り組まない子は「悪い子だ」と捉えられがちです。しかし、宿題をやらない子の多くは「怠けている子」でも「やる気のない子」でもありません。その子たちなりに、何かしらの考えや困りごとや不安を抱えながら、毎日を一生懸命過ごしているという視点が必要です。
学童保育所は、学校でも家庭でもない、第三の居場所だからこそ、決められた形や評価や成果を求める場所ではなく、安心して過ごせる場所であることが何より大切です。宿題に真面目に取り組んで終わらせられるかどうかだけに目を向けるのではなく、宿題に取り組めない背景にまで寄り添ってくれる大人がいて、「ここに来るとホッとできる」や「自分のことをわかってくれる人がいる」と感じられる居場所であることが、こどもたちの心の安定に大きく影響します。
宿題に向き合えない時間もその子の成長の一部と捉えて、決して大人が焦らず、決めつけず、その子のペースと意見を尊重することが、結果的に学びへの意欲につながっていくこともあります。
まとめ
学童保育所で「宿題をやらない子」に対する関わり方に、たった一つの正解はありません。大切なのは、決められた時間に宿題に取り組み、最後まで終わらせることをゴールにするのではなく、「この子は今何に困っているのか」や「どんなサポートがあれば無理なく成長できるのか」を考え続けることです。
保護者の思いに寄り添い、学校と密に情報を共有しながらも、こどもたちが何を考えているのかを中心に据える。そのような丁寧な関わりの積み重ねによって、学童保育所は単なる託児所ではなく、こどもと保護者の安心できる居場所になっていきます。
宿題をやるかやらないかだけでこどもたちを判断せずに、その子の背景に目を向け、ゆっくり隣で伴走をし続けてあげることこそが、学童保育所で働く支援員にできる重要な役割なのです。
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